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機会平等の幻想(財産が学歴と職歴にどう影響するか)

これはアビトゥアを約一ヶ月後に控えた長男が、今週の社会学の授業でみたARDのドキュメンタリーのタイトルである。

大学時代が人生でもっとも素晴らしい時だったと学卒者は当時を振り返って感慨にふける。様々なことに挑戦し、経験をつみ、人格を熟成させていく、そんな時間があった。

それにひきかえ、今日大学で学ぶものには、忍耐力、並外れた勤勉さ、他人を押しのける強さ、そして何より財力のある両親が必要である。

大学の大抵の学科に足きりがあり、アビトゥアで小数点前に1がつかない成績を取った者は、入学できるまでにしばしば数年待たなければならない。

その最もいい例が、医学部で、この学部の足きり点は、1,0-1,2にもなっている。これに満たなかった者は、ウエイティングリストに載り、多くの場合、職業訓練などをして時間をもたせることになる。

この問題は成績の悪かった生徒の希望する学部学科を訴えるという弁護士産業へと発展した。

これにより財力のある両親をもつ生徒が希望者が殺到する学部学科に入学することができ、そうでない生徒はただこれを傍観するしかないのである。

この番組では3,3の成績で卒業した女生徒の両親が、14ほどの大学の心理学科を起訴し、結果1つの大学が彼女のために特別枠を設け、入学させたというケースを報道していた。確か入学に必要だった点は1,3であった。

一方で歯学部に進学したかったが、待機年数が6年と長く、歯科医助手の訓練を最優秀で終えたものの、それが待機年数の短縮に繋がらず、夢を諦めた女性のケースが取り上げられていた。

悪名高き、ボローニャ改革後、大学は欧州他国に足並みを揃え、学士課程と修士課程を導入すると同時に、単位取得制度も開始した。

これにより学生は出席点、中間テスト点、発表点などなんだのと、ありとあらゆる点を集めなければならなくなった。 

もはや大学での講義は、教科の自由選択の幅が狭まり、学生は高校時代のような既成の時間割で、与えられた課題をこなし、必要事項を丸暗記するというような事態に追い込まれているという。

そのため、大学生活は学業に拘束され、昔のように青春を謳歌することなど出来ないそうだ。

番組では、親からの仕送りや返済型学資援助を受けても、家賃や生活費に困り、アルバイトをしながら、夜遅くまで勉強する女学生、一方、親にアパートを購入してもらい、学友とともに勉学のみにいそしむ女学生が映しだされていた。

ここでも親の財力が物をいうということである。

私は長男からその話を聞いた後、その番組をYoutubeで検索して視聴した。視聴して疑問に思ったのは、今何故アビトゥアを1ヵ月後に控えた生徒に、このような番組を見せる必要があったのかということだ。

最終成績の3分の1を握る最終試験までの1ヵ月を死に物狂いで突破せよという意味合いなのか、希望の学部学科に入学できても、親の財力がない者は覚悟せよという警告なのか。

いずれにせよ、最低限の援助しかしてやれない親として、気分のいいものではなかった。ましてや親の懐事情を察している長男も、さぞや気分を害したものだと思う。

教師としてあまりにも気遣いがないのではなかろうか。




それでも一日1時間も勉強しているのかどうか怪しい長男。30日を切ったぞ、おい!
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Author:ダイネムター
がんばってんジィ(Gammbatten Sie)!の管理人、ダイネムター(Deine Mutter)です。
ミュンヘン工科大2年生の長男とデュッセルドルフのハインリッヒ・ハイネ大学生物化学専攻1年生の次男を持つ日本人母(日本の教免取得者)です。

保護者代表でギムナジウムの数学教科会議に参加したり、学年保護者集会ではニーダーライン企業主連盟協賛の化学アカデミーの紹介をするなど、小学校からギムナジウムまで子供達の教育に積極的に取り組んできました。

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